2018-19年版で26号目となるクラシックカー・オークション・イヤーブックの最新版。世界中で開催されるカー・オークションにおける327メーカー、5,467台分の情報(モデル名、製造年、シャシナンバー、仕様、落札価格/有無等)が網羅されています。著者であるアドルフォ・オルシ・ジュニアの友人で、日本窓口を務める越湖信一氏(MASERATI CLUB OF JAPAN会長)によると、年鑑最大の流通量を誇る夏のモントレー・クラシックカー・ウィークにおける2019年の売買状況は消極的で、落札金額もここ数年は落ち着いて来ているようであるとのこと。一方、2020年に入ってからはコロナ禍の影響で中止になったオークションもあった一方、RMサザビーズなどが主催するチャリティーオークションやオンライン専門オークションハウスは活況を呈しているようなので、改めて気になるモデルの動きをじっくり整理してみるのも良いエクササイズかもしれないですね。
著者のアドルフォ・オルシ・ジュニアはオルシ家がマセラティ事業をシトロエンに譲渡し、さらにデ・トマソへと移る過渡期を経験しています。70年代後半から80年代にかけて引き続きオルシ家がマセラティ事業に関わり、これまで一家で培ってきたスタイルがアレッサンドロ・デ・トマソにより急激に変化していく中、アドルフォは経営の一線から距離をおきます。そして、自らヒストリックカーのステアリングを握りレストアを進める傍ら、世界中の自動車関連資料を集め、調査、レストア、売買アシストなどを行う、” Historica Selecta 社”を1990年に設立、現在に至ります。
アドルフォが1995年に最初に刊行したイヤーブックはとても薄い冊子で、感想を聞かれた越湖氏も言葉に詰まったとのこと。その時を振り返って「君はあの時『誰がいったいそんな本を買うんだ』という顔できょとんとしていたね」と何回も笑われたそう。そんなイヤーブックも現在では400ページの大型本に。手にずっしりと重いこの本と好きな飲み物を持ち、ソファでゆっくり気になるクルマのキャリアに想いを馳せるのも至福の時間です。
サイズ:縦約31.5cm、横約24cm全400ページ