2019-20年版で25号目となるクラシックカー・オークション・イヤーブックの最新版。2019年9月1日から2020年8月31日までに世界中で開催されたオンラインを含む87のカー・オークションにおける335メーカー、5,066台分の情報(モデル名、製造年、シャシナンバー、仕様、落札価格/有無等)が網羅されています。
2020年に入ってからはコロナ禍の影響で中止になったオークションもあった一方、RMサザビーズなどが主催するチャリティーオークションやオンライン専門オークションハウスは活況を呈しました。
とはいえ、総出品台数は前年比7%減、落札総額は27%もの大幅下落となり、平均落札価格は相場が急上昇した2011年頃の水準まで戻りました。このような状況に置いて落札率は従前のレベルを維持していることから、これを好機と捉えた愛好家も多数存在したようです。今年度版は 過去27年分の情報もダイジェスト収録されており、これ1冊で相場の変化を追うことが可能。改めて気になるモデルの動きをじっくり整理してみるのも良いエクササイズかもしれないですね。
著者のアドルフォ・オルシ・ジュニアはオルシ家がマセラティ事業をシトロエンに譲渡し、さらにデ・トマソへと移る過渡期を経験しています。70年代後半から80年代にかけて引き続きオルシ家がマセラティ事業に関わり、これまで一家で培ってきたスタイルがアレッサンドロ・デ・トマソにより急激に変化していく中、アドルフォは経営の一線から距離をおきます。そして、自らヒストリックカーのステアリングを握りレストアを進める傍ら、世界中の自動車関連資料を集め、調査、レストア、売買アシストなどを行う、"Historica Selecta社"を1990年に設立、現在に至ります。
著者の友人で、日本窓口を務める越湖信一氏(MASERATI CLUB OF JAPAN会長)によると、アドルフォが1995年に最初に刊行したイヤーブックはとても薄い冊子で、感想を聞かれた際は言葉に詰まったとのこと。その時を振り返って「君はあの時『誰がいったいそんな本を買うんだ』という顔できょとんとしていたね」と何回も笑われたそう。そんなイヤーブックも現在では400ページの大型本に。手にずっしりと重いこの本と好きな飲み物を持ち、ソファでゆっくり気になるクルマのキャリアに想いを馳せるのも至福の時間です。
サイズ:縦約31.5cm、横約24cm
全416ページ